そんなつもりじゃなかった

人生の難易度が高すぎる

イリヤの空、UFOの夏の思い出

この時期になると読み返したくなる本がある。それが、秋山瑞人が作者のイリヤの空、UFOの夏というライトノベルだ。

 

 

この作品を初めて手に取ったのは、19歳の夏に差しあたるくらいの時期だったかな。当時の僕は学校にも通わず日がな何もすることがなく、ブックオフに入り浸る毎日だった。蒸し暑い日のブックオフまでの道のりを歩いた。店内は冷房が効いていて、独特のにおいがしていたのを覚えている。

偶然覗いたラノベコーナーで興味をそそられるタイトルだったので、手に取ってパラパラめくってみた。すぐに購入を決意した。

主人公、浅羽直之が忍び込んだ夜の学校のプールで、イリヤと名乗る少女と邂逅をし物語は始まる。秋本が書く1人称と3人称が混じり込んだような躍動感のある文体が特徴的で、僕はすぐにこの物語に引き込まれていった。

いわゆるセカイ系のような終末を予期させる大人達の戦いと少年少女たちの平凡な日常シーンの対比がうまく描かれている。どこかノスタルジアを感じさせるような田舎が舞台の世界観も魅力的だ。

この本、やたらと喫煙シーンが多い。登場する喫煙者のほとんどはラッキーストライクを吸ってるんだったっけな。うろ覚えだけど。

榎本と浅羽が屋根でラーメンを食べる描写が凄く好きで、影響された僕も見晴らしの良い場所でカップ麺をすすったことがあった。

 

終わり方が切なくて、胸に残るようないい小説です。夏の終わりが近づきつつある今、手に取ってみてはどうしょうか。